ウェル・テンペラメント


ピタゴラス 5 度をすべてとっていくと残りの 5 度が 678 cent になりますが、それを 4 等分することによって、C 調付近では 3 度が美しくなり、黒鍵付近では、5 度が美しくなります。ヴォルフがなく、12 調無理なく演奏できます。

また、それゆえに自動的に、調性 (ハ長調 = 明るい感じなど) が生まれます。また、この思想に基づいて考案された調律は、ウェル・テンペラメントと総称されることがあります。

この、オリジナルのウェル・テンペラメントは、大変美しいのですが、ピタゴラス 3 度が 5 つあることや、C - E が 384 cent となり、純正長 3 度の 386 cent をわずかに越えてしまっていることにより、ウェル・テンペラメントから、A - E の 696 cent である 5 度を B - F# に移動させた、ヴェルクマイスター第一技法第三法のほうが人気があります。

しかしながら、分かりやすい調律であり、この調律とともに、バッハの曲集である「インヴェンションとシンフォニア」により、学習用に用いられることがあります。

cent 値
C=12 , C#=2 , D=4 , Eb=6 | E=-4 , F=10 , F#=0 , G=8 | G#=4 , A=0 , Bb=8 , B=-2 (a 基音)
C=0 , C#=-10 , D=-8 , Eb=-6 | E=-16 , F=-2 , F#=-12 , G=-4 | G#=-8 , A=-12 , Bb=-4 , B=-14 (c 基音)
C=8 , C#=-2 , D=0 , Eb=2 | E=-8 , F=6 , F#=-4 , G=4 | G#=0 , A=-4 , Bb=4 , B=-6 (平均律基準)

調律法
純正 5 度を C から時計と反対方向に E までとっていき、残りの 4 つの 5 度を同じうなりになるように調整します。調律ができあがったら、C - E の響きが綺麗かどうか確認しておくといいと思います。

よく使われる楽器
調律、作曲学習用のチェンバロ

(2011.11.19)


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