ミーントーン 振動数比 4/5 である長 3 度を純正になるようにとっていく調律法です。和声的な音律で、5 度が純正長 3 度のために、純正より狭い 5 度になっていますが 696.5 cent なので、そのうなりも穏やかであり、3 度、5 度を中心とした作曲法が使えます。 この 696.5 cent の 5 度は、特に、ミーントーン 5 度 (m) と呼ばれています。 ミーントーン 5 度を中心に音律を構成していくと 1 つの 5 度 (G# - Eb) が犠牲になります。その 5 度をヴォルフ (w) をいいます。 したがって、12 調 演奏することが困難です。# は 3 つ、b は 2 つまでで、C を合わせた合計 6 つの調が、比較的自然に演奏可能です。 図にあるのは、改良型ミーントーンで、オリジナル・ミーントーンは、ヴォルフをのぞくすべての 5 度がミーントーン 5 度になっています。 しかしながら、すべてをミーントーン 5 度にとってしまうと、ヴォルフがひどくなるとともに、基音がことなると、すべての音階が、その 2 つの音律を聞き比べた時に、大変異なっているように聞こえ、非常に聞きづらいものとなってしまいます。 現在では、ミーントーンというと、ヴォルフに近いいくつかの 5 度を純正に置き換えたものを指し、一般的には 4 つくらい置き換えられています。有名なものに、ヴォルフを中心に 1 つづつ置き換えたプレトリウスのミーントーン、また、図にしめすように 2 つづつ置き換えた、シュニットガー (Schnitger / シュナイダー) のミーントーンがあります。 ヴォルフを軽減するために、ヴォルフを 2 等分する方法もありますが、あまり一般的ではありません。 モーツァルトが、この調律を用いていたといわれており、モーツァルトの曲のほとんどを、この調律で演奏することができます。 バロック時代に全盛期を迎えたこの音律は、現在でもオルガンを中心に用いられています。 cent 値 C=10.5 , C#=-8.5 , D=3.5 , Eb=10 | E=-3.5 , F=14 , F#=-10.5 , G=7 | G#=-6.5 , A=0 , Bb=12 , B=-7 (a 基音) C=7 , C#=-12 , D=0 , Eb=6.5 | E=-7 , F=10.5 , F#=-14 , G=3.5 | G#=-10 , A=-3.5 , Bb=8.5 , B=-10.5 (c 基音) C=8 , C#=-11 , D=1 , Eb=7.5 | E=-6 , F=11.5 , F#=-13 , G=4.5 | G#=-9 , A=-2.5 , Bb=9.5 , B=-9.5 (平均律基準) 調律法 長 3 度が純正になるように、5 度をうなりによって決定していきます。3 度が純正になったかどうかは聞き取るのが難しく、勘や経験が必要です。なので、まずはミーントーンに調律された楽器を実際に聞いてみると良いと思います。自分なりに掴めれば、正確な純正 3 度でなくても、5 度が等分されていれば、美しいハーモニーを奏でることができます。 よく使われる楽器 オルガン、チェンバロ (2009.10.14) トップページに戻る |